コウケンテツ×暮らしと道具<br />
2019.08.12

コウケンテツ×暮らしと道具
"糸島で見つけた、料理道具編"

料理研究家として食に携わるコウケンテツさんが、仕事を超えて惚れ込んだ"道具"たち。その向こうに見える作り手の思いとともにお届けします。

コウケンテツさん

コウケンテツ

出身は大阪府、現在は東京都在住。お母様である韓国料理研究家、李映林さんのもとでアシスタントを務めた後、料理研究家として独立。韓国料理、和食、イタリアンと幅広いジャンルで活躍中。福岡ではRKBの料理番組「たべごころ」でもおなじみ。

日常でガンガン使える木の器
DOUBLE = DOUBLE FURNITUREの器とカトラリー

僕は普段東京に住んでいますが、9年前からRKBの料理番組「たべごころ」の収録やイベントなどで月に2〜3回は九州に来るようになりました。
九州に訪れるたびに感じるのは、食材でも道具でも流行りすたり無く"いいモノ"が作られていること。しかも若い才能が次々に生まれていること。九州のモノづくりは、個性豊かで魅力に溢れていると僕は思います。
そして、その若い才能の一人が、DOUBLE = DOUBLE FURNITUREの酒井航さん。僕がここの器やカトラリーを愛用しているのも、単にモノが気に入っただけではなくて、木についての勉強を欠かさない酒井さん自身を尊敬しているからでもあるんです。

最初に酒井さんの器に出会ったのは、7年前くらい。当時住んでいたマンションでお世話になっていた方から、ロングプレートをいただいたのがきっかけです。韓国料理では前菜のような位置づけで常備菜をたくさん出すのですが、これを盛りつけるのにちょうど良かったんです。お客さんをお招きした時にこのプレートに盛って配膳したところ、とても好評だったんですよ。そこから、プレーンなお皿やコップ、カトラリーなど普段使いできるアイテムを次々に揃えていきました。

木の器を日常遣いにすることは、なかなか難しいんですよ。木の香りが気になったり、油染みがついたり色移りしてしまったり。割れてしまうこともあります。でも、酒井さんの作るモノは、フライなどの油ものをのせても、カレーを盛ってもシミ一つつきません。毎日でも使えるほど耐久性が高く、それでいて、デザインはシンプルで和洋中どんな料理にも合うし、木の質感も十分に味わえる。そんな木の器に、僕はあまり出会った事がなかったんです。木材についての知識を十分に持った上で、日々勉強して試行錯誤しないと、ここまではたどり着けないはず。お皿の向こうにワクワクしながら作っている酒井さんの姿が見える気がして、長い間愛着を持って使い続けています。

酒井さんの器を最初に買うならシンプルな平皿とスプーン、フォーク、ナイフとお箸がおすすめですね。ワンプレートの朝食用に使うイメージです。うちでは子供用のコップも酒井さんのものを使っています。朝出かける前の慌ただしい時間、不意に落としても木の器だと割れないし、お味噌汁とご飯の和食派も、目玉焼きとベーコンの洋食派もどっちにも映える。小さい子供に持たせるのは不安なナイフも、木製なら安心して持たせられます。うちは娘がいるのですが、木のナイフを自分で使って美味しそうにパンケーキを食べていますよ。
あとは、深めのボウルも便利です。なにせ茹でたパスタとソースをボウルで和えて、そのまま食卓に出してもサマになりますから。調理器具兼食器としても使えるデザインも僕にとっては嬉しいポイントです。

実は今、酒井さんとのコラボ企画も進行中なんです。木の温かみもありながら、利便性もある調理道具。僕にとっては初めてのコラボ企画なんですが、これはぜひご期待いただきたいなと思っています。実は僕自身が一番楽しみにしているんですけどね。

衣装:TIGRE BROCANTE/スタイリスト:spiral sense

コラボの話も気になるところですが、まずはコウさんのお話を頼りに、木工作家の酒井航さんが営むDOUBLE = DOUBLE FURNITUREへ伺いました。糸島の工房に併設したショールームに並ぶのは、平皿やボウルなどの器、スプーンやフォークなどのカトラリー、照明や家具など、酒井さんが手がけた木工品の数々。
コウさん曰く「ベーシックに見える形にもひとつひとつちゃんと意味があるんです。」とのことですが、実際に触れてみると木材ならではのしっくりと手になじむような感触とともに、シャープで端正なデザインに惚れ惚れします。

「木目で個性が出るので、形は料理を邪魔しないようできるだけシンプルに。カトラリーは口に入れた瞬間に存在を忘れるような口当たりの良さを目指しています。」とこともなげに話す酒井さんですが、スプーン一つとっても今の形にたどり着くまでに金属やガラスなどの異素材のものを含め何百本と試してブラッシュアップされてきたそう。

さらに驚くことに、木という"生きた素材"を使っているのにも関わらず、同じ形態のアイテムは機械で作られたように画一化されているのです。
「例えばスプーンにしても100本作るなら全て同じ形にしたいと思っているんです。お客様が2本3本と購入されても毎回同じクオリティになるように。」
そう、このクオリティの高さこそが酒井さんの探究心の賜物でもあり真骨頂。木を育てたり、木工以外の陶芸や金属の技術を勉強しに行ったり、常に真摯に学び続ける姿勢がコウさんも絶賛するアイテムを生み出しているのです。

そんな酒井さんにも、コラボアイテムの話を聞いてみました。「僕は普段料理をしないので料理を作る側のコウさんのご意見はとても新鮮でした。今は開発中なのですが、器を作る人、それを使って料理を作る人、その料理を食べる人という3つの目線でできた面白いものになると思います。」
食と木工というジャンルは違っても、探究心を持ち続ける姿勢はコウさんとリンクしているよう。そんな二人がタッグを組んだアイテムなんて、登場が実に待ち遠しいですよね。

「九州は酒井さんのような若い職人さんがドンドン出てきている上に、彼らの活動に触発されてまた新たな才能が生まれる。という非常にいい流れが来ているのではないでしょうか。なんだか未来を感じてワクワクしますよね!」そう語るコウさんのように、
"いいモノ"に触れて作り手のこだわりを聞くと、その熱が自分に伝わったような気がして、胸がじんわりと熱くなります。愛着を持って使い続ければ、道具はあなたの 暮らしの"相棒"になってくれるはず。一緒に「次はこんなことにチャレンジしようか」なんてアイデアをひねる楽しみも生まれてくるかもしれません。皆さんもぜひ身近な道具に目を向けてみてはいかがでしょうか?

DOUBLE=DOUBLE FURNITURE(ダブルダブルファニチャー)

住所:福岡県糸島市志摩芥屋1-1 芥屋フラワーセンター内
電話:092-328-2010
営業時間:11:00〜17:00*事前に要確認
休み:火曜〜木曜
HP:http://www.dd-furniture.jp/

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